緻密 VS 無心
「ザ・ダイバー」@東京芸術劇場小ホール1
だいぶ前ですが(ていうか先週な)舞台友に誘われて観劇。
前作に続く英語書き下ろし2作目、「THE DIVER」の日本バージョン。
- 作者: Hideki Noda,Colin Teevan
- 出版社/メーカー: Oberon Books Ltd
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: ペーパーバック
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前作「THE BEE」*1の時もそうだったんだけど、英国版に較べ、日本版になると「なまなましい」「なまめかしい」と言うのが第一印象。
- 原作は日本のものだからか?
- 役者が同じ肌色だからか?
否。英国の女優さんがとても恥じらいのある演技をする方だからだ。必要ならばいちゃつく、しかし少女の様にすり抜ける。野田さんのどキツイハンマーが言葉の壁と彼女の恥じらいにくるまれて、水槽におでこをくっつけて観ているファンタジーとして存在する。それが奇しくもハンマーを際だたせるのだ。しかしアジアの肌で演じると、浸透圧が増してその水槽が壊れてしまう。肌と息づかいは肉迫する。が決壊した水圧の毒気も受ける。英国版はファンタジック、よりプラクティカルなのは日本版。アンチテーゼのようだ。この差は今年も健在だったが、今回はBEEのような驚きはなかった。英国版に忠実な印象。野田語も少ない。今回日本語訳は誰だろう。
主人公を演じるのは桜姫日本版以来観る大竹さん。英版キャサリンとは近からず遠からず、の人と為りらしい。
イギリスはロゴスによる演劇の国。それはそれは裏付けをして緻密に組み立てられるようだ。しかし大竹さんは役作りもせず、現場のリアルで演じるとか。「共演者に愛して欲しい」その一点だと言う。彼女の最後の最後の表情で、この話の根幹がやっと解った気がした。その感性/母性に敬服。
トラムのアフタートークであと1作もっと短いのを作る、と仰っていたので心待ちにしたい。
*1:注※英版2回、日本版1回観劇