服わぬキメラ

芸術劇場「現代能楽集 鵺」@新国立劇場小劇場(THE PIT)

世阿弥作複式夢幻能「鵺」。
現代能楽集は、翻案への期待でつい手が伸びる。昨年の夏観た中で、期待度が一番低く一番面白かった作品。
脚本は燐光群坂手さん。何より役者が秀逸。綺麗で妖艶で芸達者な田中裕子さん、久々の新劇、えろかっこよすぎる御津五郎さん、安心のたかお鷹さん、そして声の張り方が均等で冒頭萎えたムラジュン。後半のガイジン役は妙によかったが、この3人と比べるのはかわいそうか。
4つの動物のキメラである鵺を役者4人で演じ、頼政の退治したトラツグミ、捨てられた女、臓器を移植しと物理的にキメラ=鵺と成っても生きようとする「人間」という種を描くことで、誰の心にもある普遍的な「鵺」を描こうとする話。極私的に時空のぶっとび方がちょうツボ。(←時空がいったりきたりする話好き)

映像記録としてもう一度見ることができて本当に嬉しい。自己愛が強くて論理がなってなくったって、坂手さんや野田さんああホント好き。