去勢された猥雑さ
「血は立/ったまま眠っている」@コクーン [演劇ライフ]
戦争を知っている人が描き、戦争を知っている人が演出する、安保闘争。幕は開いたまま眠っている所感。
寺山修司の処女戯曲。この台紙に載せるのはJ事/務所に初舞台の人。意外性を突いた配役、客を呼べるキャスト、予算があるからこそ作れるセット。それだけで「観たい」と客を劇場に向かわせる力量を持った、言わずと知れた大御所の演出家。今回も話題には事欠かない。
メディアで見知る限り、人として ー彼の美学、趣味や後輩に伝えていきたいことー は個人的にとても好ましい。しかしどうしてか、その成果物である舞台にはどうも心が動かされない。私が蜷川さん演出の舞台を見続ける理由はただひとつ。私が彼の舞台に魅了されない理由を確かめたいからだ。
今回既視感を覚える演出が多かった。学生闘争に対するイメージがあれなんだろうねwそれを好みとか、くせ、とか呼んでしまえばいいのだろう。レギュラーのろっぺーさんは声と質が一定でないところが、この舞台では逆に生かされるかも知れない。*1初舞台のMくん、テロするにはイデオロギーがないwフツーの人から較べたらカリスマティックかもしれないが、戯曲の勢いが明らかに勝っている。やはり三/上博/史さんくらいのパンチが欲しくなってしまう。魔界転生もたいへん一本調子だったけどwしかし舞台は生きている。「懸けた時間と思いの結晶」とやら、見守りたい。
寺山修司の戯曲は未読。
- 作者: 寺山修司
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
*1:ムサシのNY/LD verの和尚だとか。激しく作品が変わりそうな気が。。。w