滅私奉公

映画『The King's speech』
[fmr. IMDB / tomatometer]

アカデミーの数時間後ソーシャルを押しのけてオスカーもらいまくったことも、実話なこともなーんにも知らずに鑑賞。
王様もただの人間だと大笑いした分、ほろりとくる2時間。
冒頭の絞首台に向かうような演出からもう爆笑。そこからマイフェアレディかと思いきや、ヒギンズ教授に交渉明るく度胸のある奥さん(王妃な)。もう治らないんだよッ!と卑屈にキレまくるダンナ(次男)。上海仕込み?の人妻に骨抜き*1パーティー三昧の跡取りにイライラする父、頼りの次男は文明の利器が恐怖で仕方がない。人心掌握に長けた首相が親戚の国には居て、宣戦布告されようとしているのに育ちがいいから素直に巧いなぁ・・と呟くポスト王様。
ハムレットは踏み出すべきかの心情を、リチャード3世には目前の王座が手に入らない葛藤を、シェイクスピアの台詞が本人達と重なる。冒頭の数十分で雲の上のロイヤルファミリーをサザエさん並みに観客側に引き寄せる脚本と演出。本当によくできている。
後から見たら父王は本人そっくり!せんせもかなりのイケメン。知ってる人はかなり面白く観たのではないか。違うのは跡取りの発音とコリンファースの見た目くらいか。
ヨーク公=王位継承権第二位=上に一人いるはず、と頭では解っている。でも実際弟だと認識できたのはLong live the king!*2と言ってお兄様にちっすするところでした。コリンファースはかわゆいのでいいのですが弟にはとても見えない。アニキが電話で夕食に遅刻するところなんて、君のパンツに入りたい揶揄なのかな、とか細かいところを見れば錐が無い。本当に本当によくできている。
個人的にすごく好きなのは、ローグが人として決して揺るがないこと。相手が誰であれ、譬えそれが王族でもしきたりでも。それはこの奥様に担保されているからかなと納得してしまうエリザベスの演技。

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*3
台詞の数はもの凄く少ないのですが、間が凄く素敵。出会う所の狼狽ぶりは最高です。萌えるよ!!ということで助演女優賞はイーリーさんに差し上げたい。
この映画を観て原典を聞くと、目にみずが溢れそうになります。良い映画をありがとうございました。ごちそうさまでした。
兄は「王冠を懸けた恋」弟は悲劇の「プリンス」娘は「クイーン」そしてシェイクスピア。王室は国民からいたく偏愛されてるんだなぁと思う。そしてシェイクスピアの台詞の音の美しいこと。マッスルMかサスケばりのプロペラや艦長でアドレナリンマックスのRSCでは気付きませんでした。一度RSCちゃんと観たいなぁ。

*1:"Kinging"はご尤もなのだがあの言い方があまりに腑抜けで素晴らしすぎて笑ってしまった

*2:Live long and prosper!びば、ヴァルカン!

*3:RPを勉強するならこれ!と言われた時代劇版花男。黄金シンデレラ曲線ストーリー