現世(うつしよ)

「テレビは目のチューインガムである」
建築家フランク・ロイド・ライトの言葉。一回見始めるとずっと観ちゃう、とはよく言ったもので。
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深夜番組が好きだ。
CX「アインシュタイン」は今でも名番組だと疑わない。
D
*1MX「テレバイダー」も毎週正座して観てた。

最近だとえろ男爵の「未来教授サワムラ」とか「ウドで訊く!」かなぁ。

めっきり観なくなったが、当時の名残で、深夜にやることが多いドキュメンタリーだけは録画で観ている。バラカンさんのいない方の「60 Minutes」、局名を冠にした30分番組の数々。張麗玲さんの追う中国人留学生シリーズ、「小さな留学生」「泣きながら生きて」やNNNドキュメントの「育てなおし〜思い残し症候群」など、心に残るものも多い。
が。初めて不愉快になった。職業軍人だった父の足跡を辿る一時間ものなのだが、この息子、元ミュージシャンが実に残念。米寿に迫る齢にもかかわらず鍛え上げられた体躯のお父上は、いち個人として実に魅力的なのに…。彼はテレビで家庭内東京裁判を行いたいのか。否、彼はまだモラモラしている。その大きな背中に甘えているのだ。彼の言動が不愉快に感じるのは、私自身が同様に未熟だからなのだろう。野田秀樹ではないが、人の人生を知悉するにはそれと同じ時間がかかる。戦争について、いろんな方がいろんな手段や言葉で発信している。以前に視た渋谷駅にある岡本太郎の「明日の神話」(和製ゲルニカ)もその一つだ。戦争について考えるとき、史実を克明に追うのも時に必要だが、発信されたものや身近な体験者の方々から自らが得たことを、どれだけ長く意識上に保って実践していけるかの方が難しいように思える。それでも「良い息子なんですよ」とほろ酔いで嬉しげに語る父。ふと呟かれる言の葉は、ここ一年個人的に感じ続けてきたこととクロスし実に染み入った。深い川は静かに流れるのだ。近頃、後続に遺したい想いから戦前生まれの方々が輝く場面が多く見られる。先達に見習わねば。

*1:90'のCXの深夜は神でした。「皆殺しの數學」「NIGHT HEAD」も熱狂的に萌えてたし、他局だったと思うけど映画の吹き替えをする声優が翻訳の妙を解説する10分番組も好きだった。ていうかホイチョイ厨ですね。すみませんw